客と完全にすれ違っている営業マン -宅建士同行体験談3-

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付き合いが長い訳ではないお客さんとのコミュニケーションは確かに難しい。

しかし、完全にすれ違っている営業マンもどうかと思う。

 

十何年か前のこと。

ワンルームマンションの購入のため、1週間ほど前に重要事項説明をしたMさんというお客さんがいた。

営業部長より、

「今日、Mさんの契約なのだが、S班長は遅れそうで担当のKはまだ契約に不慣れだ。お前付いていてくれないか。」

契約が済めば、そのまま某社のローン面談に入るので※、戻ってきて良いという。

※ワンルームマンションの購入はローンを組むことがほとんどなので、契約締結後にローン会社がお客様と面談を行うパターンが多い。

その時、ふと嫌な予感がしたのだが、断る訳にもいかない。

割合近くにいたため、すぐに現場に向かった。

 

現場に着くと、M氏は既におり、担当のKが対応している。

何となくホッとしたのもつかの間..、M氏からとんでもない一言が..。

 

M氏:「今日、契約じゃないですよね?」

担当K:「えっ?・・・・・・・・・」

自分:「・・・」(なんだ~!?つ~か、Kよ!黙ってないで何とか言え!)

M氏:「だから今日は契約じゃないんでしょ。今も仕事の途中で抜けてきたんだし..。」

担当K:「・・・」

自分:(仕方ないな..)「え~、M様。先日は重要事項説明を行った物件の契約の件で、本日お約束したとお伺いしていますが..。」

M氏:「契約ではなくて面談でしょ。この前言ったじゃない。そもそも自宅が欲しいのだけど買えるのか? このワンルームマンションを買っても自宅購入に影響がないのかをローン会社と面談できるかって?」

自分:「・・・(これは完全に話がすれ違ってるな..)

M氏:「今日がその面談日でしょ。だから会社抜けてきたんじゃない。」

 

すぐに席を外し、会社に電話をした。

営業部長によると、自社のローン担当者もローン会社の面談担当者も、間もなくこちらへ到着すると言う。

 

これは面談させてしまうしかないな..。

それで何とかなるか..。

 

結果はどうにもならなかった。

ローン担当者もローン会社の面談担当者が到着し、M氏と会ったが、M氏は先程からの話を繰り返すだけ。

ワンルームの購入だと信じて来た、ローン担当者もローン会社の面談担当者もしばし絶句。

結局、その場でM氏の要望に対して、即答できるはずもなかった面談担当者は帰るしかなかった。

その時、一言も言葉を発しなかった担当のKによると、

【担当Kの話の流れ】

ワンルーム購入を勧める → 自宅は別に買えるしローン面談はあると説明 → 重要事項説明(ガチ) → 契約締結 → ローン面談(マンション購入)

【M氏の話の流れ】

ワンルーム購入を勧められる → 自宅は買えるのかローン面談希望 → 重要事項説明(とりあえず) → ローン面談(自宅購入相談) → 契約締結(問題なければ)

 

なるほど..。

話が最初からほぼすれ違っているのに、途中までは流れが不思議に一致している(笑)。

 

しかし、S班長は前回不参加、自分は重要事項説明のみ参加で、このコミュニケーションのすれ違いに気づかず。

残念ながら、この契約は流れ、担当Kは営業部長よりきついお叱りを受けるハメになった。

コミュニケーションは確かに難しい面もあるが、担当Kよ。何人巻き込まれたと思っている..。

すれ違いにも限度がある。

今では懐かしい思い出だが..。

 

 

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